期待などしていなかった、始めから。
ただ、貴方を見ていたかった、側にいるだけで良かったのに。
それなのに、一旦触れることを許されると……貴方が、俺を、懐柔する。
忘れていた、忘れようとしていた感情を思い出して、それが嬉しくて、つい貴方に甘えてしまう。
なんてことだ、俺は貴方を守らなければいけないのに。

俺の腕の中で美しく着飾った貴方は不思議な光景を眺めている面持ちだった。
でも、貴方より当惑しているのは俺の方だ。
本当にこれは現実なのか、バカな俺のあさましい夢なのか。

『大賢者』の仮面をはぎ取り、欲望のままに俺を求めてくる『村田健』としての貴方を見ることがどれほどの喜びか、貴方は解っているだろうか。

貴方からもたらされる口づけは全てを忘れさせる、貴方への愛情だけを残して。

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