翌日は猊下を起こすとそのまま式典警備の打ち合わせに顔を出し、やっと開放されたのが昼過ぎ。陛下の執務室に戻る途中で少尉とバッタリ出会った。
「あれっ、どうかしたんですか?」
「あっ、グリエさん。ここでお目にかかれて良かった!! 実は猊下が急に眞王廟にいらっしゃるとおっしゃって……」
「はぁ? だって連絡してないでしょ、入れないですよ?」
「ええ、そうなのです。鳩もいらないとおっしゃるし。とりあえず馬車の手配はしましたが……ご一緒していただけますよね?」
「もちろんですよ」
無地の天蓋付き馬車に猊下と少尉、俺を含めた騎馬警備4名、パラパラと春を迎える小雨が降る中、慌ただしく血盟城を出発した。
いつも使う王都の中心を抜ける道は使わず、城の裏口に当たる通用門から出ると人家の疎らな川沿いに続く林の中をしばらく進み、ちょうど辻を曲がって眞王廟がある丘へ向かう道に入ったところでそれは起こった。
「ヨザ〜ック!!」
俺を呼ぶ大声に振り返ると猊下が馬車の扉を開け、半身を乗り出している。
「危ない!!」
慌てて馬を反して横付けした俺の腕を掴むと「後ろに!!」という言葉と共に飛び乗ってきた。
「一体、なにを……」
事態の飲み込めていない俺を含めた全員が唖然とする中、
「少尉。夕方には戻るから暇つぶししててくれ。さあ、行こう!!」
俺の腹に手を回すと踵で馬の腹を蹴り、馬を走らせる。
「時間は作った。場所は君に任せる」

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