学業に励み、大勢の友人を作り、卒業後は眞魔国に帰らずそのままP&K商会出入りの仲買業者について様々な国を巡って商売を教わった。仕事でやってくる父さんとは2年に1度くらい会った。その度に父さんはいろんな人を紹介してくれた。決まり文句は「これは俺の息子なんだ。できる奴だからいろいろと力になってやってくれ」

「4ヶ月もどこに行ってたんだよ。どっちも随分前に届いたんだぞ?」
久々にP&K商会 カヴァルケード支店に顔を出すと母とフリッツさんからの手紙を渡された。
「道が崩れて山っん中の村に閉じ込められてたんだよ。母さんはともかく、フリッツさんからなんて珍しいなあ」母からの手紙は後で読むことにして、フリッツさんからの手紙を読み始めた。
「……国に帰んなきゃ」
「えっ?」
「一番早い船、なんとかなるかな?」
よっぽど俺の形相が凄かったんだろう。奴は慌てて航路と運行表を付け合わせて、一番早い船を手配してくれた。それでも出発は明後日。船を乗り継いで国に着くのは2週間後だ。来るときは短いとさえ感じたのに、今はなんて遠いところに来ているんだと思った。

船中では繰り返し母さんからの手紙を読んでいた。
父さんの乗った船が出帆して9日後、別の航路上の船が大量の木材や荷物が流れてるのを発見した。そのなかに船名が書かれたものがあり、連絡を受けた船会社が乗船名簿から母さんのところに連絡してきたそうだ。
ここ4〜5年、人間の国では荒れ気味の天候で、日照りが続くかと思ったら長雨や台風などで被害が続いていた。気象学の基礎を学んだ俺は山と船には注意するようにしていたし、父さんだって気にしてたはずだ。それなのに……

家に帰るといつもの様子で母さんが迎えてくれた。
「ベネラは?」
「葬儀の後しばらく一緒にいてくれたけど、もう帰ったわ。だって5ヶ月も経っているのよ」
「そう言われると立つ瀬がないな」
「気にしないで。あなたがいても何も変わらなかったわ」
「それでも……息子として何かできたはずだ」
「そう言うと思って、あなたの仕事を一つ残しておいたの」
その夜はそれ以上父さんのことには触れず、翌朝、二人で墓地へと赴いた。

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