グウェンが選んだ数人の駐在員候補に説明した。その内、「この歳で他の世界を見られるとは、楽しみですな」と言ってくれた初老のハンスと、「退役してから暇を持て余しておりました。お話をお聞きすると、なかなか刺激的な世界のようですね」頼もしい言葉を聞かせてくれた中年のヤコブの二人に決まった。
そして、グウェンとヨザックを招いてのパワフルビジネスランチは「そんな深刻な話ですか? 船で行くか、その『スタツア』ってぇ〜ので行くかの違いだけに聞こえますけど。でも、閣下がそんなに心配されるんなら、危険手当を増やしていただきましょうかねぇ。あっ、へーか、その塩、取ってくださいな」、単なるいつものランチになった。

地球に戻るとスタツアの通路を開通するため、自分用のパスポートを取って勝利と二人でアメリカに飛んだ。ウルリーケ曰く、俺が呼びかければ地球でもだいたい追えるので、一回その場所を特定できれば次からは俺がいなくても問題ないそうだ。
(それじゃあ今まで何回か失敗したのは?)って聞こうと思ったけど、俺の質問を予感したウルリーケはさっさと逃げ出してしまった。

出迎えの先生は郊外の森の中にある屋敷に俺たちを案内してくれた。映画なんかで見る金持ちのバカでっかい豪邸とまではいかないが、埼玉の一軒屋が小屋に見える程度には豪華だ。
「街だと出入りが見られる可能性があるからね。ほら、通路にちょうど良いだろ?」
玄関ロビーの奥、庭に通じるガラスのドア越しに見えるプールを指さした。自然をうまく取り入れてて、どこまでが庭でどこからが森なのか分からない。ただ、眞魔国の森林地帯に似ているような感じ。
「ところで、地球の言賜巫女ってどんな人?」
「そうそう。俺もその巫女って人にすっごく会いたかったんだよ」
「勝利、期待に鼻を膨らますな!! 確かに眞魔国の言賜巫女は幼女の姿とは云ったけど、800歳越えだとも云ったろ!!」
「実年齢より見かけだよ、見・か・け!!」
「まあまあ、二人とも。こっちでは単に『コーラー』って呼んでるけどね。紹介するよ、こちらがリオ・クローさん、それにデズモンド・トーイ四世、通称『フォース』」広間のソファーに座っていた二人は名前を呼ばれて立ち上がった。

「魔王陛下に拝謁賜り、ありがたき幸せに存じます」
やや古風な日本語で挨拶したリオ・クローは赤褐色の肌に白髪交じりの長髪を後ろで束ねたネイティブアメリカンの老人。一方、「初めまして、DTフォースです」とお辞儀をしたのは東洋系で小学一年生くらいの少年。
「渋谷有利です。こちらは兄の勝利。二人とも日本語ができるんですね」
「いえ、先生のマシンで覚えました」とフォースがホセに視線を向けた。
「それで、どちらがコーラーなんですか?」
少年の肩に手を置いたリオが「私たちはどちらも呼びかける力が強いのです。この子はまだ訓練中ですが、いずれ私の後を継いでこちらのコーラーになります。それにしても、またあちらから人が来るのをお助けすることになるとは。長く生きているとこういうこともあるのですね」
「えっ? それじゃあコンラッドを呼んだんですか?」
「名前は存じませんが、はい。あの時は魔王陛下がいらっしゃらなかったのでしたので、到着場所がやや外れてしまいまして」と笑っている。

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