「ハナさん、おれは仕事柄、言えること、言えないこと、言わないことがあるけど、全部ひっくるめて俺の『家族』になってくれないか」、それはこの『ムラタァ ケン』も含めて、ということでもあった。
「一つ教えてください。私はムラタァさんに似ているのですか?」
グリエさんは「あーあ、お二人ともとても良い人なのに心配性で困る」と苦笑し、「あのですね、確かに似てますよ。性格とか考え方とか振る舞いとかねっ。でも、ハナさんだってあるでしょ? いいなって思う人に共通するもの、つまり『好み』ってヤツでして。俺は昔ッから小柄で、気が強くて、自立してて、そのくせ時々ハラハラさせて、一緒にいていつも新鮮に思える、愛情深い人が好みなんです」、指を伸ばしながら好みの条件を挙げている彼は絵そのままの笑顔。
(彼があの笑顔を見せてくれるなら、私もムラタァさんのように笑えるかもしれない)そう思った瞬間、私の心の砦はあっけなく白旗を揚げていた。

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