彼の作った世界が薄れていく。
さっきまでの戦いはもう終わったのだ。

「なあ、聞いてもいいか? どうしてジュリアの魂を選んだんだ?」

眞王は視線を俺から村田に移した。
「もう思い出しているんだろ? 自分が誰かを」
「ああっ、すっかりね」
「あいつは東の端に特別な力を持つ一族の噂を聞いて、その力を手に入れるために攻めたのだ。一族で一番力の強いものを差し出せば、皆殺しにはしないと脅し、お前の母を手に入れた」
「でも……」
「そう。あいつは猜疑心の塊だ。同じように誰かが力を手に入れるかもしれない。だから──」
「皆殺し、かっ。ところで、この場に及んでまだ渋谷の質問には答えない気かい?」

「あの夜の、私の母の舞いは見事だったろ?」擦れゆく眞王は懐かしそうに云った。
「僕に言わなかったように、渋谷にも黙って消える気か!!」
「……俺ら……しいだ……ろ……それに」
もうほとんど姿が見えない眞王が俺に視線を向けたように感じた。
「これでや……っと終わ……れ……る」
そして、世界は元の闇へと戻った。

「なんて奴だ。本当に云わずに消えやがった!!」
村田は怒りまくってるが、俺にはなんとなく分かった気がする。
「なあ、村田」
「なんだよ!!」
「その舞いって、どんなだった?」
「どんなって……まるで火と風を自在に操ってるみたいかな」
「そっか。そういうことか」
「なに一人で納得してんだよ」
「大賢者の一族の力ってなんだったんだ?」
「……地下鉱脈や水の流れを察知する力だよ」
「この魂はたぶん眞王のお母さんの……じゃないかな。この魂が元々持っていた火と風。そして、転生して鏡の水底の鍵になり、あと足りないのは大地。だからお前は俺のブースターになるんだ。違うか?」
「そう……かも。さて、この闇をどうする? 『光あれ』とかするかい?」
「ここにはもう異物はない。元に戻ったのに何かする必要なんてないだろ。さっ、俺たちの世界に帰ろうぜ」
「どっちの世界に?」
「まずは眞魔国。俺はまだ魔王だから、誰かに魔王を譲って、その後は……地球だな」
「じゃあ帰ろっか」
「ああっ」

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