日本では女の子が男の子にチョコをあげるのだが、その他の国では恋人同士や家族の間で花やケーキやカードを贈り合ったり、ディナーに行ったり。クリスマスほどではないにしろ、その日が近づくにつれてギフトショップは賑わう。ただ、クリスマスと違ってパートナーのいない友人をディナーに招くことはないので、相手のいない年、私は改めて一人の寂しさを味わったりする。

「だからといって、俺を呼び出すのは止せ。それも、高級レストランのディナーを二人テーブルでって、回りから勘違いされるだろ!!」
口ではそう言うが、彼も決まったパートナーがいないので、私が呼び出せばちゃんとこうして席に着くのだ。
「とっくに勘違いされてるって気づいてなかったの、勝利さん。あんなにたくさんきれいな女性を紹介してたのに、あなたが一向に付き合わないから最近はボブも諦めてるんだよ?」
ガシャン!!
「そんな音、立てない。この店、テーブルマナーが悪いと次から予約を受けてくれないだからぁ」
「お前が変なことを言うからだ。まったく!!」
デザートを食べ終え、コーヒーを飲み干すと「ほら、一応なっ」、勝利さんが小箱をテーブルに置いた。包装紙の中には葉巻、私のお気に入りだ。
「それでは、こちらも。はい、どうぞ」
「二つ?」
「こっちは勝利さんに。こっちは……いつも花をもらってるから」
「自分で渡せよ。こっちは宅配やってる暇はないんだ」
「まあまあ、そう云わずに。元は兵士と恋人を極秘結婚させた神父さんに由来する祝日なんだから、ねっ?」
「俺が渡す時はもうバレンタインデーじゃないぜ」
「それはいいんだ。ほんのちょっとした気持ちだから」

運転手付きの車でアパートまで送ってもらい、走り去る車を見ながら中身を見た勝利さんと彼の顔を想像すると頬が緩む。
何しろ二人に贈ったものは同じもの、黒檀の八角箸とウォールナッツ材の箸箱だ。
美味しいものを食べて、いつまでも健康でいてほしい。それぞれに寄せる感情は違っても、どちらも私にとって大切な人であることに違いはないのだから。

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