「ホント、勘弁して下さい…っ!」
生憎、そんな一言で止めて上げる程素直になんて出来ているはずもなく。
煽るようにして立ち上がりかけた彼自身に口づけようとしたところで、身体を反転させられた。

そして僕の上に多い被さるようにしたヨザックに縫いとめられる。
「…知りませんよ?」
…まずい。やり過ぎた。
熱の籠った瞳で見下ろされて気付く。

さっきまで散々翻弄され続けてやっと解放された処。
悪戯心はあっても実際、そっち方向はもう充分だ。
それでも。

「……嫌だ」
「…今、アンタがそう言いますか」

そのまま、噛みつくようにして唇を奪われた。

あ?。これじゃぁ反撃でも何でもないな。
そうは思うが煽り煽られているのはどうしようもない事実。
しかも、今仕掛けたのは結局は自分だ。
それに、さっきから、このゴツゴツした武骨な指が、どうしてこうも巧みに動くのか、とまだ残る少しの理性で考えながらも翻弄されていればこうする意味も理由もきっかけもどうでもよくなってきた。

快楽に弱すぎる自分が少し情けなくもあるけれど、少々のコンプレックスだった貧弱過ぎる身体も彼にしてみればそれすらも愛しいと聞かされて、正直気分が良い。

もしかしたら、そんなことも全て、彼の計算なのかと、ヨザックの本職を思えば勘ぐりたくもなるが、こんな風に騙されるならば、と、許せる僕も少々色ぼけしすぎなだろうか。

でも、1度覚えた這う指の感触を、身体はそう忘れることは無いのだから、
そんな意味のない事を考えるより溺れてしまう方が簡単だ。

「君の思うままには為らないよ?」

抱かれながら言うには、幾分効果の無い虚勢を吐き笑えば熱い胸が重なってきて肌に触れた一瞬、心が揺れた。

隙を突かれて吸いつかれた首筋の、日に焼け少しパサついた髪をくすぐったく思いながらも、そっと目を瞑り意識を飛ばすようにして、結局はその感覚に溺れる事にした。

結局、疲労感よりも愛しさを優先したのが何よりの証拠。

愛こそすべて、だ。

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