「あ…」
「どうしたの、ヨザック」
「雨、ふってきた」
 ヨザックの小さな呟きで視線を持ち上げた村田は窓の外を視界に入れた。
 確かに、強くはないが雨が降ってきているようだ。
「本当だね」
 もう季節は春。
 けれど、まだ風の冷たい日はある。
 雨が降ると気温が下がるような気がするのは気のせいなのか、本当なのか。
「ちょっとだけ冷えるね、雨降ると」
「えっと…じゃあ、これならさむくない?」
 声と共にぽすりと背中に降ってきた重みと熱。
 一瞬反応が遅れたが肩の部分から手が見える。
 村田の手よりも小さな手。
 ヨザックが背中に体重と体温を預けたのだ。
「…うん、寒くないよ」
「良かった」

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